◎ 各種取引態様における税法の取扱い
(仕訳例)



「譲渡」や「取得」の場合の 所得税法 や 法人税法における時価の適用



◆ 時価による 「譲渡」 「取得」 の計算例 <仕訳例>

  ◆ 動態的な財産評価 (法人税・所得税における財産評価) の必要性! <例示>

<例>  ★ 適正時価(通常の取引価額)10、  取得価額 の土地を
  • ケース1: 譲渡価額10で譲渡した場合(適正時価で譲渡)

  • ケース2: 譲渡価額 8で譲渡した場合(低額譲渡で譲渡価額が時価の2分の1以上)

  • ケース3: 譲渡価額 4で譲渡した場合(低額譲渡で譲渡価額が時価の2分の1未満)

  • ケース4: 譲渡価額12で譲渡した場合(高額譲渡)




  • (1) 売主(個人)、買主(個人)の場合
     ケース1ケース2ケース3ケース4


    (個人)
    現金 10 / 土 地 2
        /譲渡益 8
    現金 8 / 土 地 2
        /譲渡益 6
    現金 4 / 土 地 2
        /譲渡益 2
    現金 12 / 土 地 2
        /譲渡益 8
        /贈与収入 2
    (注1)
     高額譲渡→逆贈与


    (個人)
    土地 10 / 現金 10土地 8 / 現金 8

    (注1)
     2 の贈与税課税
    土地 4 / 現金 4

    (注1)
     6 の贈与税課税
    土 地10 /
    家事費 2 / 現金 12
    (注1)
     2 は売主への贈与

  • (注1) 時価が明確な場合に贈与税課税される例であり、実務上は個人間(親族間を除く)
    の取引では、時価として「相続税評価額」
    を使えば通常、贈与税は課税されません



    (2) 売主(個人)、買主(法人)の場合
     ケース1ケース2ケース3ケース4


    (個人)
    現金 10 / 土地 2
        /譲渡益 8
    現金 8 / 土 地 2
        /譲渡益 6

    (注2)所法157条
    現 金 4 /
    家事費 6 / 土地 2
         /譲渡益 8
    ★ 所法59条適用
    現金 12 / 土地 2
        /譲渡益 8
        /賞与収入 2
    ★高額譲渡→給与課税


    (法人)
    土地 10 / 現金 10土地 10 / 現金 8
         /受贈益 2
        (※1)
    土地 10 / 現金 4
         /受贈益 6
        (※1)
    土地 10 /
    賞 与 2/ 現金 12
    ★2 は(売主への賞与)

  • (ケース4) の場合 : 売主と買主との関係は、同族会社とその同族会社の役員の場合

  • (注2) の場合: 所得税の負担を不当に減少せしめる結果となるとき→所得税法157条
    (同族会社の行為又は計算の否認)の規定の適用がなされる場合には→譲渡益は8となります



     
    (3) 売主(法人)、買主(個人)の場合
     ケース1ケース2ケース3ケース4


    (法人)
    現 金 10 / 土地 2
          /譲渡益 8
    現 金 8 /
    賞 与 2/
    (※2)/土 地 2
        /譲渡益 8
    現 金 4 /
    賞 与 6 /
    (※2) /土地 2
         /譲渡益 8
    現金 12 / 土 地 2
         /譲渡益 8
         /受贈益 2


    (個人)
    土 地 10 / 現金 10土 地 8 / 現金 8

    ★(賞与収入2
    土 地 4 / 現金 4

    ★(賞与収入6
    土 地 10 /
    家事費 2 / 現 金 12
    ★2 は法人への寄付金

  • (ケース2及び3) の場合 : 売主と買主との関係は、同族会社とその同族会社の役員の場合




    (4) 売主(法人)、買主(法人)の場合
     ケース1ケース2ケース3ケース4


    (法人)
    現 金 10 / 土地 2
         /譲渡益 8
    現 金 8 /
    寄付金 2/
    (※3)/土地 2
        /譲渡益 8
    現金 4 /
    寄付金 6/
    (※3)/ 土地 2
        /譲渡益 8
    現 金 12 /土地 2
         /譲渡益 8
        /受贈益 2


    (法人)
    土 地 10 / 現金 10土 地 10 / 現金 8
        /受贈益 2
        (※1)
    土 地 10 / 現金 4
        /受贈益 6
        (※1)
    土 地 10
    寄付金 2 / 現金 12


  • (※1) は、時価で取得したものとし、差額が 『受贈益』 扱いとなる

  • (※2) は、時価で譲渡したものとし、差額が 『賞与金』 課税となる
  • (※3) は、時価で譲渡したものとし、差額が 『寄付金』 扱いとなる



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    上記の様に、取引の一方が法人の場合には、時価で取引があったものとして処理(仕訳)されることになり、
    それが個人にも影響する場合がありますので、適正な時価の把握と共に、細心の注意が必要です。




    mail: hy1950@manekineko.ne.jp/
    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
    http: //www.manekineko.ne.jp/hy1950/